猫好きのためのペパクラ日記

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「風立ちぬ」見ました


昨日、品川プリンスで宮崎駿監督の長編最後の作品

「風立ちぬ」を見てきました。

 

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カミさんが50歳以上なので夫婦割引で、一人1000円で

見られます。ネットで予約できるのは、限られている

らしいです。品川プリンスはその限られた一つなので

よく利用します。

 

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まあ、内容的には一度見ただけでコメント出来るほど

簡単ではないし、ネタバレもいけませんので

ここでは、絵について関心したところだけ限定的に

コメントしてみます。

 

監督本人が、描いたであろう絵とスタッフが描いたであろう絵

とハッキリ分かるくらい表現力に差があった(と思う)。

 

いい悪いの話ではない。

メリハリという意味や、ここぞというポイントのシーン

どうしてもという場面のこだわりが、そこにはあるのでしょう。

 

1)具体的には、木材の茶の質感は良かったです。

特に、ぎょっと思ったのは 

軽井沢であろう別荘地に建つホテルの階段の手すり

 

これは、旧岩崎邸で見た黒光りする階段の手すりと同様の

ものであった。この光は、長い年月を経て毎日磨かれた

ニスでなければ出ない色なのです。

それを、絵で表現しきっている。

それで、思わずぎょっとしました。

(昔、旧岩崎邸の階段の手すりのニスの色に感動して

写真を撮って何とか表現しようとレタッチをしたのを思い出す。

今探したが見当たらない。) 

スクリーンショット(2013-09-09 12.13.37).png

スクリーンショット(2013-09-09 12.12.44).png
 
この2枚の写真は、ネットから引っ張って引用しています。
残念ながらイメージ通りというわけではありませんが。
それに近い雰囲気はあると思います。 

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勝手な空想ですが、

岩崎家は、三菱財閥の祖であり、映画での飛行機メーカー

は三菱であった。そういう つながり もあり あのホテル

の絵にはモデルとして旧岩崎邸を使った部分があるのでは

ないか。そう思いました。

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2)同ホテルの錆びた屋根の赤

この錆びた感じの赤は、いい感じの色であった。

いい錆具合が、見事に表現されていました。

 

3)同じく軽井沢であろう別荘地の周辺で森に分け入った

木陰のシーン。この少しローキーな場面の草の緑の表現力。

この木陰の草は、どういうわけか細かく描かれていた。

間違いなく本人が、思い入れを込めて描いている。

 

その思いが何かは分からない。

分からないけれども、何かを訴えている。

それだけは伝わってきます。

 

ーー

日本人にとって緑から青という色は、多分古来より

大切な色で、故郷の原風景を彩る大半を占める色です。

 

ゆえに、最近まで信号機の青は、緑であった。(想像です)

緑は青と表現されていました。そこに違和感が無かったのです。

何故かと考えていたら、ある時田舎のどこにでもある山を望む田んぼ

の風景で、はたと気が付いた。

空の青から遠い山々、近くの山、目の前の稲の緑まで 

連続的にグラデーションがつながっているのです。

 

そういう当たり前の風景を目にしていれば、青から緑は

青と表現されて不思議ではない。

 

じゃあその青が、単なる一つの色を示す単純な記号に

還元されるかというと、全く違う。

一見貧弱にに見える一語表現が、実は膨大な色情報を含む

グラデーションを包摂して、実は豊かな一語表現なのだと

私は感心したのです。

 

今の人は、一語には一意しか認めない。それが正しいと思っている

が、それでは言葉はますます貧弱になるばかりです。

信号機の緑を青と言っていた頃がなつかしい。

青色LEDという技術がなかったから というだけの話では

ないと私は思う) 

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 そんなわけで、監督の草木の緑の階調の多さと

その表現力に並々ならぬものを感じたのです。

緑に対する思い入れは、私が気づいたことと共通する

のかもしれません。そして、日本人の原風景を 原点を 思い出せ

というメッセージがあるのかもしれません 。